環境を変える意味

左京
 例えば、会社で働いてる人がいて、「違う道があるんじゃないかなって思ってるんですよ。でもどうなるかわかんないし」って言われたら、どう答える?

手塚
 職場を変えるとか立場を変えるとかっていうことがきっかけにはなるけど、本質的には変わらないって思ってるから。俺がホスト辞めました、明日からどっかの会社に就職しますって言っても何も変わらないと思うんだよね。だから、それってそんなに重要な問題じゃないんじゃない? っていう話から入るかな。それよりも自分がどうなりたいか、自分が今日何をするのか、自分がどういう人間になりたいかっていうことを考えたうえでの方法じゃないかな。結婚式に出るんだったらスーツ着てくし、虫取り行くんだったら網もってくしっていうレベルの話。本質は変わんねーじゃん。

 そんなに職種とか仕事によって変わることはないと思う。前、左京君が言ってたけど、どんな場所でどんなことをしたって結局は、みんなそれぞれいろんな目的があって、今は目の前のちっちゃな目標だったり、ひょっとしたら遠くの目標かもしれないけど、何があったって一生懸命がんばってる人間っていうのは、結局は日本を良くしようと思ってがんばってるんだっていうのは、結構俺のなかででかい言葉で、あぁそっか、ってすごい自分のなかで納得した。

 結局、一緒なんだよね。何やっても一緒だっていうのは、俺が突っ走ったところに何があるのかって言ったらよくわかってなかったし、今がんばってることってなんか交わんないんじゃねーかなって思ってたけど、結局はがんばるってことは自分の成長することと日本をよくすることと。人にお金をもらうってことは、人に気持ちよくなってもらった対価なわけだから、結果的にはそれは日本をよくすることにつながる。

左京
 それが世界であってもいいわけだよね。

手塚
 そう、世界であってもいいわけだし。一緒なんだなってその時思ったから、結局自分が成長することが全てかなって。仕事や職種っていうのはその上での手段であって、そこから対価を得る、お金を得ることっていうのは本当に二の次、三の次なんじゃないかって気がする。
 
 今100%魅力のある仕事で100%需要があるものに対して、相当のお金の対価が出るかって言ったら、そんなことないから楽しいわけじゃない? ちょっとしかがんばんないのにすごい儲かる人もいるけど、どんだけがんばっても全然儲からない人もいるからおもしろいわけじゃない? だから、常にマネーゲームを求めてたって、それはそれでゲームとしておもしろいけど、それは仕事でもないし、働くことでもない。なんとなく。


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 さっきのドンペリさんの話に戻るけど、やっぱり、働くことの根本っていうのは自分のために田畑を耕すこと、その次には神様のために最高のワインをつくること、そういう純粋なことの気がする。全部自分のため。
 俺自身のことを考えれば、俺はどんどん変わっていく自分に会いたい。その変わる手段・武器としての仕事。お坊さんになって、毎日毎日冷汁を食べることと、俺がIT社長になって毎月1億円稼ぐこと、その時の魅力に対しての差異はまったくない。自分がその時に本当に成長したい道筋が違うだけであって、そこに差異はないね。
 
 職種としてホストを選んで、あんまり堂々と思ってない部分があるからこそ自分自身っていうものをすごく考えられるのかもしれないけどね。僕たちはこんなに良い商売してますよっていう風に言える職種だったらここまでたぶん考えなかったと思うし。自分自身を納得させなくても、お客さんの笑顔を見てこんなに僕は幸せなんですっていう話できっと終わってたかもしれない。だけど、そうじゃないから自分自身を納得させるためにそういうことを考えるようになったのかもしれない。
 逆によかったのかもしれないよね。あんまり素晴らしいものをつくって、お客さんに喜んでもらって、あぁ僕は生きててよかったですっていうようになっちゃってたらきっとそれに満足して、楽しくそのままきちゃってたかもしれないから。

(次回はアートディレクターの寄藤文平さんです)

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シブヤ大学 学長の左京泰明が「仕事」や「働くこと」について、様々な分野で働く同世代の仕事人に素朴な疑問をぶつけ、彼らの言葉の中から「働くとは何か」を探っていくインタビュー企画です。
協力:(株)弘文堂

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このページは、左京泰明が2007年8月21日 14:18に書いたブログ記事です。

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