FILE.07
上田晋さん
(恵比寿キャンパス 運営スタッフ)“個人の夢や願いを実現できる、
相互支援の地域コミュニティを作りたい。
そのために40代は
シブヤ大学にも全力で取り組みます。”
2009年2月、シブヤ大学は地域に特化して活動する地域キャンパスを恵比寿と表参道でスタートさせました。上田晋さんは、生命保険会社のライフプランナーとして忙しい日々を送る傍ら、恵比寿キャンパスのメンバーとして、自身の経験とネットワークを活かし運営資金の調達(ファンドレイジング)を主に担当しています。多い時は月に100人以上の人達に、シブヤ大学の活動を説明して回っているという上田さんに、その情熱の原動力とNPOのファンドレイジングについて伺いました。
シブヤ大学に関わるようになったきっかけは何ですか?
実は僕、去年の秋までシブヤ大学をほとんど知らなかったんです。恵比寿に8年住んでいて、小学校のPTA会長なんかもやっていたんですけどね。
それが、恵比寿キャンパスの立ち上げの際に僕が理事を務めているGood Day※というNPOの代表を通じて声をかけられ、今では妻も参加してプライベートのほとんどが、シブヤ大学になっています(笑)
僕は、大学が教育学部で教師を目指して教育実習も経験したんです。けれど頑張った分だけ目に見えて成果が出る仕事がしたくて、その時は公務員としての立場が自分には合っていないと思い、教師にはならずに民間の不動産会社へと就職をしたんです。ただ当時からずっと教育には興味があって「いつかは学校を作りたい」という漠然とした夢は持っていました。
それから、自分にも子どもができて教育について深く考えるようになり、「子どもたちが夢を実現させる為の教育を社会人との関わりの中で作りたい。その為には、まず我々親や大人が本気で夢やビジョンを追いかけて相互に支援しあう仕組みが必要だ」と感じていたんです。
そこに、飛び込んできたのがシブヤ大学。僕が考えていた「学校」のビジョンと今すごく愛着を持っている「恵比寿の街」が一緒になって、これはもう「やるしかない」って感じでしたね。
上田さんのシブヤ大学恵比寿キャンパスでの役割を教えてください。
僕の役割の一番大きな部分は、シブヤ大学恵比寿キャンパスを運営し維持していくための資金を集めるファンドレイジング。つまり、シブヤ大学を支えるサポーターをたくさん増やすことですね。サポーターは、個人の会員さんだったり、法人の会員さんだったり、授業を一緒に実施してくれる企業さんだったり。そういった資金調達や寄付集めって、NPOの人達が一番苦手だし、やりたがらない部分なんですよね。でも、これがしっかりしていないと持続可能なプロジェクトにはならないんです。
もう一つが、シブヤ大学と地域との連携づくりです。小学校のPTAをしていたころから、防犯や災害時対応、学校教育や地域活動のために地域住民の協力関係作りが必要だなと感じていたんです。特に同世代、アラフォーのオヤジ達が地域とつながる場ってあまりなくて、シブヤ大学とつながることで、僕らオヤジが活躍し貢献できる場ができればと思っています。
その為に、仕事やプライベートを通して多いときでは週30名、月に100名程の人達にお会いしています。シブヤ大学の理念や志を理解してもらう一方で、お会いした方々や地域の問題の解決、ビジョンの実現にシブヤ大学では何ができるのかを一緒に考え相互に支援しあうような関係を少しずつ築いています。
上田さんを動かす情熱の原動力は何ですか?
僕には人生のミッションというものがあるんです。それは「本当に困っている人がいたら、何とかして助けたい、本当に頑張っている人がいたら、その人の夢や目標を全力で応援したい」ということ。
10年前に転職をする際「上田さんの夢は何ですか?」と聞かれたんです。その問いに「車を買う、家を持つ...」くらいしか答えられなかった自分に愕然として「自分の人生を賭けて本当にやりたいことってなんだろう」って嫁さんと一緒に真剣に考えたんです。
その時に出てきたやりたいことが、このミッション。
だから仕事ではライフプランナーとして、お客様の人生目標の実現のお手伝いを10年行ってきました。プライベートでも多くの頑張っている人に出会い、その人達を応援しようという思いから色々な活動に参加してきたんです。その延長で、出会ったのがシブヤ大学。それが学生時代から思い描いていた「学校を作る」とつながったんです。
20代は、不動産会社で社会人としての基礎を身につけ、30代は、生命保険会社のライフプランナーとしてビジネスで個人の人生を応援してきました。だから40代は、シブヤ大学を通じてプライベートでも社会に最大限貢献していきたいと思っているんです。
NPOのファンドレイジングと上田さんの目標について教えてください。
僕が、シブヤ大学でやらなければと思っていることはNPOのファンドレイジングのモデルを作ることです。NPOのファンドレイジングとは、活動のために必要な資金を調達することです。シブヤ大学の場合は、受講者は無料で受けられる一方で、授業に使う備品代や会場費、webサイトの制作や管理費用、運営スタッフの人件費などが活動のためのコストとしてかかります。それらをシブヤ大学の理念やビジョンに共感し、応援して頂ける個人会員や法人会員からの会費や寄付、企業とのタイアップ授業による協賛などで調達しています。
この資金調達の部分が上手くいかずに苦労しているNPOが、たくさんあります。シブヤ大学もまだ学生登録をしているすべての人に授業参加の機会を提供できていないのが現状です。もっと授業数を増やしたり、ゼミやサークル、文化祭や地域での活動を増やせれば、今はまだ参加できていない多くの方々に機会を提供できる。僕は、「3年以内に年間一万人が授業を受けられる仕組みを作る」まずこれを実現したいと思っています。
そのために必要な資金を調達することを目指し、多くの人に会い協力を求めたり、有効な調達方法を考えたりしています。
シブヤ大学のファンドレイジングがうまくいけば、他のNPOのお手本にもなると思うんです。社会の為の活動を持続可能な仕組みにする為に、NPOの経営や資金調達を分かりやすく言語化した指南書の様な物も作りたいと考えています。その本が、世界中のNPOのバイブルとしてずっと語り継がれる物になれば良いななんて、学長の左京さんと一緒に夢を描いたりしています。
プルデンシャル生命保険(株)立川支社 コンサルティング・ライフプランナー。1965年生まれ。北海道室蘭市出身。北海道大学教育学部卒。学生時代から描いていた「学校」のビジョンと、PTAの活動で必要性を感じた地域コミュニティ作りを、シブヤ大学の活動を通して実現しようとしている43歳。
(2009/07/02 | インタビュー 竹田芳幸| 撮影 oyabin SATO 親瓶さとう 他)
インタビュー一覧
- 生姜塚理恵さん(授業コーディネーター、ボランティアスタッフ)
- 加藤慎康さん(大ナゴヤ大学 学長)
- 高田誠一さん(シブヤ大学 学生)
- 杉山あゆみさん&子竜くん(シブヤ大学 学生)
- 松本初夏さん(ボランティアスタッフ)
- 吉田安廣さん(恵比寿ガーデンプレイス勤務、恵比寿キャンパスサポーター)
- 佐藤隆俊さん(授業コーディネーター)
- 松田高加子さん(「映画音声解説ゼミ」先生)
- 岩佐堅志さん(街の先生、雅楽演奏家)
- 大谷紀子さん(シブヤ大学学生、ココロゼミ生)
- 新谷比佐さん(恵比寿キャンパス 授業コーディネーター)
- 嶋村千夏さん(ボランティアスタッフ、畑ゼミ「tane」代表)
- 上田晋さん(恵比寿キャンパス 運営スタッフ)
- 西村信子さん(シブヤ大学学生、シブヤ補講)
- 近井祐美子さん(ボランティアスタッフ)
- 河村めぐみさん(アサヒビールお客様生活文化研究所、ビール醸造ゼミ仕掛人)
- いしのももこさん(「子供限定授業作り 食育ゼミ」ゼミ長)
- 原田萌さん(シブヤ大学学生、シブヤ大学キャンパスマップつくり隊 隊員)
- 野原邦彦さん(音声解説ゼミ生、シブヤ大学の作り方学科生)



